薬剤部

 

薬剤部長・挨拶

薬剤部は従来より、処方箋による調剤、抗がん剤の無菌的調製、高カロリー輸液(TPN)をクリーンベンチ内で無菌的調製、医薬品情報活動(Drug Information)、TDM(therapeutic drug monitoring、治療薬物モニタリング)に加え、30年以上に渡り病棟薬剤師制度を導入し、全ての病棟に薬剤師を配置し、医師の処方した薬が安全に有効に使用されるように薬剤師がチェックし、健康食品、サプリメントと薬の飲み合わせ等、患者様 が安心して納得して薬を服用いただけるように服薬指導を行う体制を取って来ています。このような薬学的な患者管理は医薬品の適正使用と医療安全の観点から重要であり、医療の質の向上にも、薬剤師はチームの一員として貢献して来ています。 特にチーム医療に関しては、がん、緩和ケア、感染、NST、認知症、心臓病等に参画し、医師、看護師、他のコメディカルと供にカンファレンス、回診に参加し薬剤師の視点より薬物療法の介入において積極的な提案が出来るよう個々に日々研鑽を積んでいます。 約10年に渡り、患者様のかかりつけ保険薬局と顔の見える関係での、地域の薬局との病薬連携を推進し、さらなる連携の向上を目指しています。 また、専門性の発揮できる臨床薬剤師の計画的な育成を実施し、研究、学会発表、論文投稿も行っています。

 

業務内容

薬剤部では、医薬品の適正使用を推進する為に、入院中の患者さんに薬剤師が病棟にて服薬指導を行っています。また、処方監査、注射管理 (TPN調製、抗がん剤調製)、持参薬鑑別などを実施しています。必要に応じて疑義照会、処方提案などを行い、薬が安全に投与できるよう、薬剤師がチェックする体制を取っています。

 

調剤室では、入院患者さん、外来患者さん(主に時間外に受診した患者さん)の内服、外用薬を調剤しています。用法、用量に問題はないか、重複処方されていないか、相互作用に問題はないかなどを、コンピュータシステムを利用して監査を行い、複数の薬剤師の目で確認しています。また、調剤助手と協力しながら調剤を行い、必要に応じて一包化を行っています。

 

入院患者さんに処方された注射薬を、1施行ごとにセットを行い、患者毎に一日分ずつ払い出しを行っています。複数の薬剤師で、投与経路、投与量、投与速度、配合変化に問題がないかを確認しています。 
病棟への払い出しは、全薬剤バーコード認証を利用して正しい薬剤、数量であるかを確認後に行います。
また、全病棟、外来部門、手術室などに配置している注射薬を定期的にチェックし、温度管理、配置状況や使用期限の確認を行っています。

 

 

 入院患者さん、外来患者さんの抗がん剤は全て外来化学療法室内に設置された専用の設備がある場所で無菌的に調製を行っています。特に外来患者さんの待ち時間を少しでも軽減できるよう、外来スタッフと連携しながら調製をしています。また患者さんごとの薬の投薬量や治療スケジュール、血液検査値を含めた抗がん剤の適正使用に複数の薬剤師で監査を実施し、必要に応じて医師に疑義照会をしています。
調製には電子カルテ上での薬剤バーコード認証、注射薬混注監査システムを使用して抗がん剤の種類や投薬量を正しく調製し、誤投与につながらないよう努めています。
 抗がん剤のレジメン管理は、登録制で行っており、多職種と検討を重ねて患者さんがより安全に治療が行えるよう工夫しています。薬剤師は、医師・看護師などのスタッフと協力しながら、患者さんが安心して治療を受けることができるように心掛けています。
 外来患者さんと院外の保険薬局を繋ぐ連携を行っています。患者さんが副作用で困っている時や治療に対する不安がある時などは、患者さんの思いを傾聴し、安心して治療が受けられるようにおくすりの説明をしながら、必要に応じて医師に対症薬の提案を行い、患者さんに寄り添い一緒に治療を行えるよう支援しています。院外の保険薬局と情報共有を行いながら、現在患者さんが抱えている、もしくは今後予想される問題点等を共有しながら、協同で治療支援を行い、地域全体でより良い医療が提供できるように努めています。
 化学療法患者さんのレジメン、当院で服薬指導の際に使用しているパンフレットはHPから確認できますので、ご活用ください。

 

 

手術などのために入院前に抗凝固薬、ホルモン剤などを中止する必要がある患者さんに対して入院前面談を行い、中止時期や中止薬の指導とともに当院の処方だけでなく、現在服薬されている全てのお薬(持参薬)を確認し、安全に手術や入院治療が行えるよう努めています。
また、小児を中心とした吸入指導やオピオイド、抗がん剤導入時の指導なども行っており、必要に応じて院外の保険薬局(かかりつけ薬局)へ情報共有を行っています。

 

 

入院患者さんの高カロリー輸液(TPN)を薬剤部内のクリーンベンチ内で無菌的に調製しています。
配合変化の防止やビタミンB1、微量元素などの不足がないか、適切な栄養量であるかを複数の薬剤師でチェックを行います。栄養量の不足や補充に関しては、NST担当薬剤師と連携を行い、安全で適切な栄養管理に努めています。

 

 

添付文書の改訂や医薬安全性情報が製薬メーカーや厚生労働省から発出されます。それらの重要な医薬品情報、副作用情報などを迅速に院内に伝達し、毎月DIニュースを発刊しています。また、医師や看護師などのスタッフや患者さんからの医薬品に関する問い合わせにも対応し、問い合わせ内容を部内で共有できるように努めています。昨今の医薬品の供給不安定の状況に対しても、各診療科と連携を行い、適切な治療が遅延しないよう取り組んでいます。

 

TDMとはTherapeutic Drug Monitoring(治療薬物モニタリング)の略で、治療効果や副作用に関する因子を継続的にモニタリングしながら、患者ごとに個別化した薬物投与を行うことです。特定の薬物においては治療効果と副作用が血中濃度に関係するため、薬物の血中濃度を測定します。それをもとに患者さんの病態、治療効果や副作用の発現状況などを考慮し、医師へ適切な投与方法の提案することで、安全かつ効果的な薬物治療を支援しています。

 

全ての病棟に担当薬剤師が常駐し、医師の処方した薬や持参薬が安全に有効に使用されるように薬剤師がチェックし、健康食品、サプリメントと薬の飲み合わせ等、患者さんが安心して納得して薬を飲んでいただけるように服薬指導を行う体制を取っています。
入院患者さんの情報を薬剤師の視点で把握し、持参薬鑑別による薬の情報、初回面談による患者状況(服用状況、副作用歴、アレルギー歴等)などを医師や看護師と共有しています。入院後に使用する薬剤の投与に際しては、個々の患者さんに応じた投与量等を計算して医師に処方提案を行ったり、投与速度や投与ルート、配合変化等の情報など、医師や看護師からの相談にも対応しています。また、ベッドサイドで直接患者さんからお話をお伺いし、投与前に患者さんへの説明を行い、投薬後の効果の確認や副作用の発現がないかを確認しています。
また、抗がん剤の開始時の説明、副作用支持療法やオピオイド使用患者さんの疼痛管理、入院中のせん妄治療、睡眠コントロールなどあらゆる病態に対して積極的に薬学的な介入を行なえるよう病棟スタッフと連携して業務を行っています。
このような薬学的な患者管理(Pharmaceutical Care)は医薬品の適正使用とリスクマネージメントの観点から重要であり、医療の質の向上にも、チームの一員として貢献しています。

 

当院では、2014年10月より保険薬局との連携強化を目的として、連絡票を用いた病薬連携を抗がん剤治療中のがん患者さんを中心に開始しています。また、双方向性の連携を強化するために2016年10月より返信用連絡票を導入し、病薬連携連絡票とセットで返信用連絡票もFAX送信しています。現在、保険薬局からの返信率は80%以上であり、多くの患者さんで双方向性の連携が出来ています。
2021年4月より外来で抗がん剤点滴治療中の患者さんの連携も開始し、入院だけでなく 外来も含めたがん患者さんを対象とした病院と保険薬局の顔の見える質の高い連携ができるよう引き続き努めています。
そして、2023年4月よりハートチームの薬剤師が中心となり、病薬連携を心不全領域にも拡大しています。


 

 

名古屋記念病院では感染対策チーム、抗菌薬適正使用チーム、栄養管理チーム、緩和ケアチーム、認知症ケアチーム、ハートチームなどがあり、薬剤師がメンバーとして、薬学的見地からチームをサポートしています。

 

感染対策チーム (Infection Control Team: ICT)
抗菌薬適正使用チーム (Antimicrobial Stewardship Team: AST)

 

ICTは、病院内で起こる様々な感染症から患者さんや職員の安全を守るために活動しています。医師、看護師、薬剤師、臨床検査技師、臨床工学技士、事務員などの多職種でチームが構成され、感染対策がすべての場所で正しく実践されるよう取り組んでおり、感染対策マニュアルの作成や持続的な病院内の環境ラウンド活動、さらに定期的に他施設との感染対策情報の情報を共有し、連携を行っています。
チーム薬剤師の役割として、消毒薬の適正使用や病棟や外来での薬剤の保管状況の確認などを行っています。
ASTは、薬剤耐性対策として、抗菌薬の適正な使用を支援しています。多職種でのカンファレンスを週に3回行い、MRSAなどの耐性菌の治療を行っている患者さんや、血液培養で細菌が検出された患者さんの治療状況を確認し、感染症治療のサポートをしています。
チーム薬剤師の役割として、抗菌薬の使用状況の把握し、抗菌薬の適切な選択と治療期間、PK/PDに基づく投与設計などをチームとして提案しています。

 

栄養管理チームNutrition Support Team: NST
NSTは患者さんの栄養状態を評価し、栄養状態を改善するための支援を行っています。週に2回カンファレンスを行い、医師、看護師、薬剤師、管理栄養士など多職種が参加しています。栄養療法について多職種の視点から検討し、個々の患者さんにあわせた栄養療法の提案をしています。
チーム薬剤師の役割として、カンファレンスにて生活に必要な総エネルギー量やたんぱく質量などを考慮した個々の患者さんにあわせた経腸栄養剤、輸液の提案や普段患者さんが使用している薬を確認し、薬の変更や追加の提案等行っています。

 

緩和ケアチームPalliative Care TeamPCT
緩和ケアとは、がんなどにともなう心と体のつらさを和らげ、患者さんやそのご家族が、より安心した生活を送ることができるように支援することです。緩和ケアは、がんと診断されたときから始まり、がんと診断されると落ち込むこともあり、診断時に、痛みや息苦しさなどの症状がある場合もあります。そのような落ち込みや症状に対して支援していきます。がんの治療とともに、つらさを感じるときにはいつでも受けることができます。
当院の緩和ケアチームは週に2回、回診やカンファレンス、倫理的カンファレンスを行い、患者さん、ご家族の抱える問題に対し多職種で検討を行っています。
チーム薬剤師の主な役割として、あらゆる症状を薬学的な介入より評価を行い、適切な薬物治療をチームで提案を行っています。また、安全な医療用麻薬の適正な使用を目指し、患者さんやご家族へ服薬指導を行っています。そして、医療スタッフが適切な知識を得られるよう定期的に病棟カンファレンス等を利用して勉強会を行っています。また、グループ病院の新生会第一病院とも名古屋記念財団緩和ケアチームとして連携を行い、協同で薬物療法、生活支援が提案できるよう活動を行っています。

 

認知症ケアチーム
認知症ケアチームは、認知症や高齢の患者さんが入院した場合に入院による認知機能低下を予防し、身体疾患の治療を円滑に受けることができるように支援しています。チームメンバー多職種で構成され、医師、認知症看護認定看護師、臨床心理士、薬剤師、医療ソーシャルワーカー、理学療法士です。定期的な回診、病棟スタッフとの情報共有、院内での学習会などを行っています。
チーム薬剤師の役割として、より安全な薬剤選択、せん妄や認知症による行動、心理症状を悪化させる可能性がある薬剤の中止、変更の提案を行っています。

 

ハートチーム
心疾患は2022年の日本での死因第2位であり、第1位の悪性新生物に次いで多く、年々増加傾向にあります。当院では2018年6月にハートチームを発足し、医師、看護師、薬剤師、理学療法士、管理栄養士、臨床工学技士、臨床検査技師、医療ソーシャルワーカーなどの多職種で活動を開始しました。当院オリジナルの心不全手帳(まいにちは~とダイアリー)を活用して、多職種での指導を行っています。チームの薬剤師の役割として、心疾患において服薬管理は特に重要であり、患者さんが退院後も継続して内服を行うことができるように、一包化やお薬カレンダーの活用など患者さんに合った薬の管理方法を提案し内服支援に努めています。またポリファーマシー等にも積極的に関わっています。院外の保険薬局との心不全連携においても中心的な役割を担っています。

 

 

2-3年目の先輩薬剤師が相談役として担当するメンター制度を採用しています。中央業務(調剤、注射払出、TPN調製、麻薬払出、抗がん剤調製、入退院支援持参薬業務)を中心に1年間の教育プログラムを組んでおり、薬剤部業務手順マニュアルを用いて説明を受けながら、業務を少しずつ覚えていきます。また、チェックリストを用いて新人さんとメンターが協同で進捗状況を確認していきます。中央業務を習得した後に、先輩薬剤師と一緒に病棟業務を覚えていきます。
当院採用薬の薬剤知識を深めることを目的に薬剤確認テストを行なっています。テスト後に先輩薬剤師の解説を受けることにより、薬剤名だけでなくより臨床に即した知識も身に付けていきます。そして、定期的に薬剤部内で開催している症例検討会にも参加し、各病棟薬剤師からの情報提供、問題点の共有を受けながら病棟症例についても学習していきます。
また、新人のうちから学会参加や発表、資格取得に向け講習会等の参加などを行うことにより今後の専門性や展望を一緒に考えていきます。

 

新人教育 年間スケジュール

 

4月

5月

6月

7月

8月

9月

10月

11月

12月

1月

2月

3月

調剤

調剤払出

調剤鑑査

調剤業務

注射

注射払出

注射鑑査

注射調剤業務

TPN

TPN調製

TPN鑑査

TPN業務

麻薬

麻薬払出準備

麻薬払出

麻薬業務

抗がん剤

抗がん剤調製

抗がん剤鑑査

抗がん剤業務

持参薬

 

持参薬一覧作成

入退院支援 持参薬業務

TDM

 

 

 

TDM測定準備

TDM測定/シミュレーション

DI

 

 

 

DI業務

病棟

 

 

 

病棟業務

当直

 

当直実習

当直

 

 

薬剤師は個人のスキルアップに努め、希望する専門、認定、指導薬剤師などの取得ができるよう、業務を配慮しながら取り組んでいます。病院からも資格を取得、継続するための学会参加や発表、論文執筆等の支援を行っています。

 

薬剤部員からのメッセージ


新卒1年目 薬剤師

Q1.当院を選んだ理由
薬剤部の病棟薬剤師業務やチーム医療に積極的なこと、専門認定などの資格が取りやすい環境に魅力を感じたことがきっかけです。病院見学時の雰囲気も良く先輩薬剤師に新人が相談しやすい環境だと感じたため当院を選びました。
 
Q2.現在までの業務で学んだこと
現在は主に計数、計量調剤や注射薬の調製、入院予定患者さんのお薬指導などを行っています。これらの業務で学んだことは、処方箋通り正確に調剤することの大切さと処方箋の疑わしい点を見つけることの重要性です。安全な薬物治療を遂行し、薬物治療の効果を最大限上げるために正確な調剤が必要であり、患者さんの生命や健康上のリスクの発生を未然に防ぐため疑わしい点を見つけることが重要だと学びました。
 
Q3.今後取り組みたいこと、目指す資格
患者さんに寄り添った薬物治療を提案し、正確な判断と知識で頼られる病院薬剤師になることが目標です。そのために日々の業務一つ一つを丁寧に行い、薬物治療の勉強に励みます。現在は妊婦や授乳婦の薬物治療に興味があります。女性ならではの体調の変化や薬が与える影響についての知識を身につけ、妊婦・授乳婦薬物療法認定薬剤師などの資格取得を目指したいです。



1年目 薬剤師

Q1.当院を選んだ理由
様々な指定や機能を有する急性期病院であり、多くの業務に関わり、様々な症例に触れる機会があり、薬剤師としてのスキルや知識が得られると考えたからです。また、病院見学をした際に、先輩薬剤師の方々が活き活きと働いている姿を見たことも当院を選んだ理由の一つです。


 

Q2.現在までの業務で学んだこと
調剤業務、注射業務、麻薬管理、薬剤師外来や抗がん剤の調製などの中央業務をメインに携わっています。当院における外来の化学療法では、より安全に質の高い治療を行うために院外の薬局と連携を行っています。患者さんのところにお伺いし、副作用発現の確認や日常生活で困っていることなどを聞き取り、院外の保険薬局へ情報提供をします。その際に、どのような情報が必要かなど患者さんから得た情報より選択し、伝えることの難しさを学びました。


 

Q3.今後取り組みたいこと、目指す資格
まずは、知識や経験不足でたくさんのことを知っていく段階だと考えています。いろんなことに興味を持ち、意欲的に業務に携わりたいと思っています。
当院は薬学生の実習を受け入れている施設であり、私自身、薬剤師の育成、教育の面に興味があるため、将来的には、認定実務実習指導薬剤師を取得したいと考えています。


 

 


3年目 薬剤師

Q1.当院を選んだ理由
様々な業務に若手のうちから挑戦させてもらえること、当院に就職された大学の先輩や実務実習を行った友人に雰囲気の良い病院だと教えてもらったことが決め手です。
施設自体は新しくないですが、働く上では人間関係や職場の雰囲気のほうが重要と考え、当院を選びました。病院も移転予定なので新しい病院で働くことも楽しみにしています。
入職してからも先輩や友人に聞いた印象は変わりなく、精神的に無理することなく働けています。業務に関しては血液化療内科、産婦人科、小児科の病棟業務を中心に任せていただき、日々勉強しながら業務を行っています。



Q2.現在の業務でのやりがい
患者さんや医師、看護師が自分の顔を覚えてくれ、薬のことを相談してくれるときに、やりがいを感じます。小児科病棟では医師から薬剤の形状や、味などで内服が困難な患者さんへの投薬の相談を多く受けます。提案した内容で内服が継続でき症状が改善していくと嬉しいです。患者さんだけでなく、サポートしてくださっているご家族にも負担がなるべくかからないような提案を心がけています。血液化療内科病棟では国家試験ではあまり詳しく勉強しなかった造血器腫瘍の患者さんが多く、日々勉強しながらではありますが副作用の発現時期や患者さんの状態に合わせて薬剤の提案などをしています。採用していただけた時は良かった、次も頑張ろうと思えます。



Q3.今後取り組みたいこと、目指す資格
現在、がん患者さんの多い病棟を担当しており、がん治療に関する資格の取得を考えています。まずは外来がん治療認定薬剤師の資格取得を目指しています。そのために日病薬病院薬学認定薬剤師の資格も必要であるためこちらの資格に向けて単位を取得しています。当院は医療薬学会のがん専門薬剤師研修施設、愛知県がん拠点病院にも指定されているため、がんの分野に興味のある方には学びの多い職場だと思います。

 

 


中途採用1年目(薬剤師歴9年目)

Q1.当院を選んだ理由
これまでの経験を活かしつつ、まだまだ実臨床に携わりたいと思い中途応募のある病院を探しました。名古屋記念病院は400床を超える急性期総合病院であり、臨床を学ぶには良い環境だと考えました。また、チ―ム医療への参加に対して積極的であり、薬剤師の資格取得に対する理解が深い点も魅力的でした。

Q2.現在の業務でのやりがい
調剤業務、病棟業務、無菌製剤業務を経験し、今では消化器内科の病棟薬剤師として常駐業務を行っています。副作用モニタリング、服薬方法の指導、医療スタッフからの相談応需を行っていくなかで「相談して良かった」と声をいただくこともあり、やりがいに繋がっています。

Q3.今後取り組みたいこと、目指す資格
名古屋記念病院は愛知県が指定するがん診療拠点病院であり、常にがん医療における先端医療を提供しています。より実践的な臨床経験を身に付け、将来的にはがん、緩和医療に関する資格取得を目指したいと考えています。

Q4.資格取得を生かした働き方
抗菌化学療法認定薬剤師の資格を取得しており、日々、抗菌薬を始めとする感染症の分野について相談を受けます。「薬剤師の意見を聞きたい」と、熱心なスタッフが多く、やりがいと同時に責任の重みを感じながら楽しく職務に従事しています。

 

研究実績
論文(当院薬剤師が筆頭のみ)

  1. Shu Yuasa, Megumi Kabeya, Satoshi Hibi, Yuko Shirokawa, Chiaki Tokoro, Ryuichi Furuta, Seiji Nagao, Satoshi Kayukawa, Yoshiteru Tanaka and Kenji Ina,:Retrospective Evaluation of the Analgesic Effects of Molecular Target Agents Against Cancer Pain and Oxaliplatin-Induced Chronic Peripheral Neuropathy. Journal of Analytical Oncology, 2022, 11, 40-44.
  2. Satoshi Hibi, Kenji Ina, Shu Yuasa, Nobuto Ito, Yuko Shirokawa, Kengo Nanya, Yuko Kato, Takashi Yoshida and Satoshi Kayukawa: Management of Hepatitis B Virus Reactivation after the Completion of Cancer Chemotherapy using a Plan-do-Check-Act Cycle.Journal of Cancer Res Updates, 2022, 11, 78-82
  3. Megumi Kabeya, Shu Yuasa, Chiaki Tokoro, Yosuke Kubota, Yoshiteru Tanaka, Kenji Ina, Satoshi Kayukawa:A Unified Primary Care Approach for the Management of Insomnia and Confusion Using the Clinical Pathway, Arch Clin Trials. 2022;2(3):1-6
  4. Satoshi Hibi, Yuko Shirokawa, Kengo Nanya, Yuko Kato, Nobuto Ito, Takae Kataoka, Takashi    Yoshida, Yoshiaki Marumo, Satoshi Kayukawa, Shu Yuasa, Yoshiteru Tanaka and Kenji Ina:Application of the Plan-Do-Check-Act Cycle for Managing Immune-Related Adverse Events. Journal of Analytical Oncology, 2021, Vol. 10, 61-68.
  5. Megumi Kabeya, Satoshi Hibi, Shun Yuasa, Satoshi Kayukawa, Kenji Ina :Bidirectional information sharing between Nagoya Memorial Hospital and health insurance pharmacies using a communication sheet for pharmaceutical cooperation. J Pharm Health Care Sci. 2020 Oct 7;6:22. doi: 10.1186/s40780-020-00177-5. eCollection 2020.
  6. 日比聡、南谷健吾、城川優子、加藤裕子、片岡孝江、粥川哲、吉田嵩、壁谷めぐみ、湯浅周、伊奈研次:免疫チェックポイント阻害剤使用患者の検査項目セット作成とその評価 全日本病院協会雑誌 学術委員会全日本病院協会雑誌編集会議 全日本病院協会 31-1 447-450 2020
  7. 岡本千晴、岩崎美樹、松島真弓、伊奈研次、壁谷めぐみ、日比聡、湯浅周:名古屋記念病院における嚥下機能評価導入前後の誤嚥性肺炎患者の在院日数に関する後方視的調査研究. 医療薬学2018, 44, 8-14.

 

学会発表(当院薬剤師が筆頭のみ)

  1. 湯浅周、壁谷めぐみ、古田竜一、城川優子、日比聡、所千晶、長尾清治、伊奈研次:後方視的調査によるPanitumumab 及び Bevacizumab 投与前後におけるがん性疼痛およびOxaliplatin よる慢性の末梢神経障害の変化の比較.第27回日本緩和医療学会学術大会 2022/7/1-2
  2. 近藤奈央子、壁谷めぐみ、湯浅周:名古屋記念病院におけるパーキンソン病内服治療薬からLevodopa注射製剤への換算表作成周知後のLevodopa注射製剤使用量の変化.第32回日本医療薬学会年会2022/9/23-25
  3. 落合葉子、壁谷めぐみ、大村妙子、鈴木理珠、湯浅周CYP3A4阻害薬を併用する医療用麻薬使用患者の有害事象の調査と薬剤師介入の評価.第32回日本医療薬学会年会2022/9/23-25
  4. 長瀬加奈、壁谷めぐみ、伊藤紳人、所千晶、長尾清治、伊奈研次、湯浅周:入院元患者における除痛率と麻薬消費量の関係の検討.第14回緩和医療薬学会2021(Web)
  5. 壁谷めぐみ、湯浅周、長瀬加奈、伊藤紳人、所千晶、加藤裕子、杉山あけみ、長尾清治、伊奈研次:睡眠、意識障害の症状緩和を目的とした不穏不眠クリニカルパスの導入.第26回日本緩和医療学会学術大会2021(Web)
  6. 日比聡、城川優子、南谷健吾、友松裕子、伊藤紳人、吉田嵩、丸茂義晃、片岡孝江、湯浅周、粥川哲、伊奈研次:PDCAサイクルを用いた免疫チェックポイント阻害剤使用患者の臨時受診時の対応における改善の取り組み.第31回日本医療薬学会年会2021(Web)
  7. 吉田祐理、岡本千晴、長岡雅敏、鈴木道雄、関原恵利子、北原陽子、湯浅周:名古屋記念病院におけるMRSA菌血症患者に対するASTの介入とその成果.第30回日本医療薬学会年会2020(Web)
  8. 近藤奈央子、壁谷めぐみ、湯浅周:名古屋記念病院におけるLevodopa注射製剤の使用状況とパーキンソン病内服治療薬からLevodopa注射製剤への換算表の作成.第30回日本医療薬学会年会2020(Web)
  9. Satoshi Hibi, Megumi Kabeya, Nobuto Ito, Shu Yuasa, Yuko Shirokawa, Kengo Nanya, Yuko Kato, Naohiro Matsunaga, Yoshiaki Marumo, Takashi Yoshida, Ryuichi Furuta, Takae Kataoka, Satoshi Kayukawa, Kenji Ina:Investigation of discarded anticancer agents after preparation in Nagoya Memorial Hospital.第18回日本臨床腫瘍学会学術集会2020(Web)
  10. 伊藤紳人、壁谷めぐみ、天満美樹、梅村聡美、田所史江、村瀬圭子、髙橋真由美、草深裕光:ビタミンK欠乏が疑われた入院患者の検討.第34回日本静脈経腸栄養学会2019/2/14-15
  11. 日比聡、城川優子、南谷健吾、友松裕子、粥川哲、吉田嵩、平出賢太郎、壁谷めぐみ、片岡孝江、湯浅周、伊奈研次:名古屋記念病院における免疫チェックポイント阻害剤使用患者に対する緊急受診時の対応.第17回日本臨床腫瘍学会学術集会2019/7/18-20
  12. Satoshi Hibi,Yuuko Shirokawa,Kengo Nanya,Yuko Tomomatsu,Satoshi Kayukawa,Takashi Yoshida,Kentaro Hirade,Megumi Kabeya,Takae Kataoka,Shu Yuasa,Kenji Ina :Countermeasures for urgent visit of patients treated with immune checkpoint inhibitors in Nagoya Memorial Hospital.第17回日本臨床腫瘍学会学術集会2019/7/18-20
  13. 吉田祐理、湯浅周、岡本千晴、長岡雅敏:タゾバクタム・ピペラシリン及びメロペネム投与開始時の急性腎障害の有無によるその後の腎機能変化.第61回全日本病院学会2019/9/28-29
  14. 日比聡、南谷健吾、城川優子、友松裕子、片岡孝江、粥川哲、吉田嵩、壁谷めぐみ、湯浅周、伊奈研次:名古屋記念病院における免疫チェックポイント阻害剤使用患者の検査項目セット作成とその評価.第61回全日本病院学会2019/9/28-29
  15. 壁谷めぐみ、日比聡、長岡雅敏、岡本千晴、湯浅周、粥川哲、伊奈研次:名古屋記念病院と保険薬局との病薬連携の取り組みとその成果.第61回全日本病院学会2019/9/28-29
  16. 壁谷めぐみ、日比聡、長岡雅敏、岡本千晴、湯浅周、粥川哲、伊奈研次:地区薬剤師を通じた保険薬局との双方向性の病薬連携.第29回医療薬学会年2019/11/2-4
  17. 壁谷めぐみ、吉田千晶、水野絵莉、湯浅周、三浦恵子、竹口恵、伊奈研次、草深裕光:せん妄軽減を目的とした不穏・不眠パスの作成.第23回愛知クリニカルパス大会2018/6/16
  18. 日比聡、壁谷めぐみ、丹羽絵梨奈、近藤奈央子、粥川哲、片岡孝江、伊奈研次、湯浅周、城川優子:名古屋記念病院における抗悪性腫瘍薬の適正な在庫管理の試み.第16回日本臨床腫瘍学会学術集会2018/7/19-21
  19. Satoshi Hibi, Megumi Kabeya, Yuuko Shirokawa, Satoshi Kayukawa, Takae Kataoka, Kenji Ina, Shu Yuasa:Trial of optimizing stock control of anticancer agents in Nagoya Memory Hospital.第16回日本臨床腫瘍学会学術集会2018/7/19-21
  20. 日比聡、友松裕子、城川優子、南谷健吾、壁谷めぐみ、伊奈研次、湯浅周:PDCAサイクルを用いたがん相談支援センターの活動周知に向けての取り組み.第13回医療の質・安全学会学術集会 名古屋 2018/11/24-25
  21. 壁谷めぐみ、湯浅周、長岡雅敏、松浦三恵子、粥川哲、草深裕光、石川尚武:疑義照会を基にしたインシデントレポート入力率増加に向けた多職種連携の成果.第13回医療の質・安全学会学術集会2018/11/24-25

 

専門・認定薬剤師取得者数

  • 医療薬学指導薬剤師(日本医療薬学会)     2人
  • 医療薬学専門薬剤師(日本医療薬学会)     2人
  • 薬物療法指導薬剤師(日本医療薬学会)     1人
  • がん専門薬剤師(日本医療薬学会)       2人
  • がん薬物療法認定薬剤師(日本病院薬剤師会)  1人
  • 外来がん治療認定薬剤師(日本臨床腫瘍薬学会) 1人
  • 感染制御専門薬剤師(日本病院薬剤師会)    1人
  • 感染制御認定薬剤師(日本病院薬剤師会)    1人
  • 抗菌化学療法認定薬剤師(日本化学療法学会)  3人
  • 緩和薬物療法専門薬剤師(日本緩和医療薬学会) 1人
  • 緩和薬物療法認定薬剤師(日本緩和医療薬学会) 2人
  • NST専門療法士(日本臨床栄養代謝学会)    2人
  • 病院薬学認定薬剤師(日本病院薬剤師会)              4人
  • 認定薬剤師(日本薬剤師研修センター)     3人
  • 認定実務実習指導薬剤師(薬学教育協議会)   3人

                                             

専門・認定薬剤師の研修施設認定

  • 日本医療薬学会                  薬物療法専門薬剤師制度研修施設
  • 日本医療薬学会                    がん専門薬剤師制度研修施設
  • 日本医療薬学会                  医療薬学専門薬剤師研修施設
  • 日本緩和医療薬学会             緩和医療専門薬剤師研修施設

(2023年9月1日 現在)