臨床検査部

業務内容

 臨床検査部は“優しさと安らぎを提供し、地域の皆様から信頼される病院を目指します”という病院の理念に基づき、患者さんが安心・安全に検査を受けられるよう業務に取り組んでいます。
 2次救急を担う当院において、24時間の検査体制はもちろんのこと、全国に先駆けてはじめた診察前検査のノウハウを活かし、外来・入院患者さんに迅速かつ正確な検査結果を提供しています。
 チーム医療においては、糖尿病教室・クリニカルパス・栄養サポートチーム(NST)・感染対策チーム(ICT)・抗菌薬適正使用チーム(AST)・ハートチーム(循環器)などに参加しています。
 質の高い医療の提供に、臨床検査部一丸となり努めています。


スタッフ

臨床検査技師 常勤29名、非常勤3名
検査助手 2名

 

資格

糖尿病療養指導士、超音波検査士、認定心電検査技師、細胞検査士、認定病理検査技師、各種二級臨床検査士

 

施設認証

品質保証施設認証取得、ISO15189取得 (病理診断科・病理室)


 

▶ 生化学・免疫血清検査


▶ 血液検査


▶ 一般検査


▶ 生理機能検査


▶ 細菌検査


▶ 輸血検査


▶ 病理検査

生化学・免疫血清検査

主に血液(血漿)、尿、体腔液等を試料とし、その中に含まれる酵素、蛋白、糖、電解質などの成分を測定します。体の各種臓器(肝・心・腎・すい臓など)の機能や障害の程度、治療の効果判定、病状の経過観察に欠かせない検査です。

 

 

 

 

ガンが発生すると健康な時にはほとんど見られない特殊な蛋白、酵素、ホルモンが血液中などに異常に増えることがあります。この特殊な物質を腫瘍マーカーと言い、その腫瘍マーカーの検出でガンの存在、種類、進行の程度を知ることができます。一部の腫瘍マーカーは呼吸器疾患や子宮内膜症、自己免疫疾患などの良性疾患や喫煙などの生活習慣で測定値が高値になる場合もありますが、複数の腫瘍マーカーを併用したり、他の検査をして総合的に判断しその欠点を補っています。

 

血液検査

採血された血液の中に存在する赤血球・白血球・血小板の数や形態を調べる検査です。炎症や貧血、血液疾患の有無を知ることのできる検査です。

 

赤血球にはヘモグロビンが含まれ、全身へ酸素を運搬するという大切な役割をしています。赤血球の数やヘモグロビンの濃度を検査することで、貧血や赤血球増多症などがわかります。

 

白血球は体内に侵入してきた細菌やウィルスなど体にとっての異物を処理(白血球内への取り込み、免疫機能を働かせる)する細胞です。また、この白血球には、好中球・リンパ球・単球・好酸球・好塩基球の5種類があります。感染症やその他の炎症に伴って増加し、造血器腫瘍では増加または減少します。

 

出血を止める為に重要な働きをします。血小板だけが止血に係わるわけではありませんが、血小板が血管の傷口に集まり蓋をしてくれます。血小板の数や機能に異常があると出血しやすくなったり、血が止まりにくくなります。

 

 

染色した血液塗抹標本を顕微鏡で観察し、白血球の種類や赤血球の形、血小板の形などを調べる検査です。

 

血液は体内を流れている時は決して固まることはありません。しかし外傷などにより出血が起こると、血液を固まらせて傷口を塞ぎ、血液を止める働きがあります。この働きがきちんと働くかを調べる検査を凝固検査といいます。 血液が固まらない病気(血友病など)や手術前に検査します。また、血栓の予防や治療で、経口抗凝固薬(血液が固まらないようにする薬)を服用されている方には、薬の効果を調べる為に検査します。  

 

一般検査

病院で一般検査と呼ばれるものには、尿検査、便検査、胸水・腹水検査、髄液検査などがあります。

 

 

 

 

尿は血液が腎臓で濾過されて出来ます。尿の成分としては、水・尿素・塩化ナトリウム等、その他多くの物質が含まれています。尿中のこれらの成分は血液成分の濃度と関係があり、血液中の濃度が高くなると、尿に漏れてきます。尿中の成分でよく検査するのが、尿蛋白、尿糖、尿潜血、尿ケトン、尿ビリルビンです。また、簡便に行える検査であるので健康診断・集団検診などでもスクリーニングとして行われています。他に、尿沈渣という検査があります。これは、顕微鏡を使い、尿中の形のある成分(細胞・血球・細菌・結晶など)を観察し、異常を見つける検査です。

 

 

便の検査で最も行われるのが、便潜血の検査です。これは採便された便中の僅かな赤血球やヘモグロビン を検出し、主に大腸での出血の有無を調べることにより、大腸癌の早期発見を目的としています。

 

生理機能検査

生理機能検査は主に循環器系、神経系、呼吸器系、耳鼻科系の4つに分かれます。
(それぞれの検査の名称をクリックすると説明画面に移動します。)

 

写真の携帯用心電計(60g)を装着し、長時間(24時間)にわたり心電図を記録します。不整脈や狭心症などの異常の有無や、薬の治療効果を調べる検査です。


 

所要時間

  • 機器の装着と説明で15分程度です。
  • 機器を取りはずす時は5分程度です。

 

注意事項

  • 服装は前開きの服が望ましいと思います。
  • 検査中は運動や食事の制限はありませんが、電気毛布は雑音の原因になりますので使用できません。
  • シャワーや短い時間の入浴は可能です。
  • 携帯電話は胸の電極に近づけないようにしてご使用ください。
  • 行動記録カードをお渡しします。行動や自覚症状の記録を取ってください。
  • 翌日、機器の取り外しのため来院していただく必要があります。
  • 機器の取り扱いには十分注意してください。
  •  

 

 

循環器の医師が検査に立ち会い、心臓に強めの運動負荷をかけることにより、心臓の機能や運動耐応能を調べます。
安静時の心電図、血圧を測定します。
上の写真のようにベルトの上を歩き、運動量を増やしていきます。また運動中も、心電図、血圧は随時測定します。
運動終了後、心電図、血圧の測定を行いながら回復の状態を観察します。


所要時間
個人差がありますが、15~30分程度です。


注意事項

  • 服装は上半身、靴下等を脱ぎ、こちらで用意した運動用の服装に着替えていただきます。
  • 運動終了の合図は心電図変化、血圧の異常、自覚症状などによりに医師が 判断します。
  • 無理をする検査ではありません。自覚症状が現れた場合は速やかに教えてください。

 

 


 

血圧脈波検査は手足の血圧を測ることで、CAVIとABIの2項目を同時に測定する検査です。CAVIとは動脈の硬さの程度を評価するための指標です。CAVIの値が大きくなるほど動脈壁が硬化している可能性が高くなります。一方、ABIは足の動脈の詰まり具合を評価するための指標です。足の太い血管の内腔に閉塞や強い狭窄部分があると、それより末梢の血圧は低下しABIの値は小さくなります。
手足に血圧測定用のカフ、手首に心電図の電極、胸部に心音計をそれぞれ装着し、検査を行います。


所要時間
5分程度です。


注意事項

  • 血圧測定時と同じく安静状態が必要です。
  • 衣服は手足の出しやすいもので来院してください。
  • 女性で体を締め付けるガードル等は避けてください。

 

 

 

心臓の動きや壁の厚さ、心臓内の弁の状態、血液の流れなどを観察する検査です。

上半身が見えるようにしていただき、通常左側臥位で検査します。検査による痛みはほとんどありません。ただし、肋骨の間にプローブを当てるため、プローブが肋骨に当たり軽い痛みを感じる場合がありますが、その場合は遠慮なくお申し出ください。  

 


所要時間

検査時間は20分~30分程度です。

 


注意事項

飲食を控える必要はありません。

 

 

首にある頸動脈の動脈硬化を観察する検査です。 上向きに寝た状態で検査を行います。検査による痛みはほとんどありません。ただし、よく観察を行うために首をプロープで圧迫することがあります。


所要時間
検査時間は20分~30分程度です。


注意事項

  • タオルを1枚持参してください。
  • 服装は首の詰まった洋服(タートルネック等)は避け、前あきの服にしてください。

 

 

脳の電気活動(脳波)を記録し、脳の神経が正常に働いているかを調べる検査です。検査による痛みはありません。装着部分の皮脂を落とし、電極を頭、耳、手にクリームで装着して検査を行います。
電極装着後ベッドで横になり、目を閉じてリラックスした状態で30分程記録していきます。その際、眠っている時と起きている時の脳の活動を記録します。 (睡眠賦活)
同じく目を閉じた状態で、検査技師の掛け声にあわせて、3分間深呼吸をしていただきます。(過呼吸賦活)
部屋を暗くした状態で、ストロボスコープの閃光を、目を閉じた眼前30cm程のところから点滅させます。(光刺激賦活)


所要時間
電極の装着に20~30分、記録に30分程度かかります。自然に眠れれば1時間くらいで終わりますが、薬を使って眠っていただく場合は、眠るまでの時間だけ余分にかかります


注意事項

  • 検査前日は頭髪をできるだけきれいに洗ってください。(整髪料等はつけないで下さい。 微弱な電気活動を記録するため、油や垢があると,強く擦ることになります。) 
  • 検査中自然に眠りにつくのが望ましいので、前夜は過眠にならないよう、できればやや寝不足気に しておいでください。
  • 検査前にお手洗いを済ませておいてください。

 

 

 

運動障害(動き難さ、脱力など)、知覚障害(感覚の鈍さ、しびれ、痛みなど)の原因が、末梢神経障害によるものかを調べる検査です。またその障害の部位や程度などもみることができます。

手や足の神経に、人体に影響のない程度の電気を流し、電気の伝わる速さを計測します。痛みや違和感を憶えるかもしれませんが、体に害は無いので心配はありません。


所要時間
30分~1時間程度です。


注意事項

  • 衣服は手足の出しやすいもので来院してください。
  • 検査中電気刺激をしているときは力を抜き、動かないようにしていただきます。
  • ペースメーカーを入れている方は検査できません。

 

 

 

 

呼吸器疾患の重症度を調べたり、大きな手術の前に肺の働きをチェックしたりするために行う検査です。 マウスピースをくわえ、検査技師のかけ声に合わせて口呼吸をしていただきます。

 


《気管支拡張剤吸入テスト》

はき出しの勢いが弱くなっている場合、気管支喘息かどうかを調べるために行うことがあります。一通りの検査が終わってから、気管支を広げる薬を吸入し、もう一度検査を行います。吸入前後の量を比較し、気管支拡張剤の効果を調べます。


所要時間
通常10~15分程度です。

    注意事項

    • 技師の掛け声に合わせてできるだけ頑張って下さい。

    • 喉には力を入れず、マウスピースは歯でかまないようにして下さい。

    • 息が漏れてしまうと正確な結果が得られませんので、マウスピースをしっかりとくわえてください。

     

    通常の肺機能検査に加え、DLCO(肺拡散能)とFRC(残気量)を検査します。

    DLCO:吸いこんだ空気中の酸素は、肺で血液に取り込まれ全身に運ばれます。この酸素の取込み具合を調べます。

    FRC:最大限に息をはき出した後でも、肺の中には少し空気が残っています。その残っている空気の量を調べる検査です。

     


    所要時間
    全部で30分程度です。


    注意事項

    • 検査前にはたばこを吸わないでください。
    • 検査技師の掛け声に合わせて、できるだけ頑張ってください。
    • 息が漏れてしまうと正確な結果が得られませんので、マウスピースをしっかりとくわえてください。

     

     

    耳の聞こえを調べる検査です。どのくらい小さい音まで聞き取ることが出来るかを調べます。ヘッドホンをつけて音を聞く気導聴力検査と、耳たぶの後ろの骨の部分にスピーカーを当てて音を聞く骨導聴力検査があります。


    所要時間
    10分~20分程度です。


    注意事項

    • 検査時に眼鏡、補聴器ははずしていただきます。

     

    音を聞くという刺激で聴神経を興奮させ、その刺激が耳だけではなく、その先の聴神経や脳まで伝わるかを調べる検査です。
    頭に電極とヘッドホンを装着した状態で、ベッドに仰向けになります。ヘッドホンから聞こえる「カチカチ」という音刺激に対する反応を記録します。

     


    所要時間
    30分~1時間程度です。お子さんで眠れない場合は、眠るまでの時間だけ余分にかかります。


    注意事項

    • 眠った状態の方が、力が抜けてスムーズに記録が出来ます。眠れなくてもできるだけ力を抜いていてください。
    • お子さんの場合は医師から処方された薬を飲んでいただき、眠った状態で検査します。


    細菌検査

    医師が患者さんの状態や症状を診察し、細菌による発熱や炎症を疑った場合に、喀痰、尿、便、分泌物、膿、血液、穿刺液(胸水、腹水、髄液、関節液)など、感染を起していると考えられる検査材料が提出されます。原因となる細菌(大腸菌:O-157、黄色ブドウ球菌:MRSAなど)を検査し、その菌に有効な抗生剤を選択しています。細菌は、肉眼では観察することのできない小さな生物です。そのため顕微鏡を用いて観察し、細菌の発育に必要な栄養素を含んだ様々な寒天培地を用い発育させて検査を進めています。

     

     

    細菌検査結果をいち早く知りえる部署として、その情報を迅速にICT(感染制御チーム:医師、看護師、薬剤師等)に報告し、院内感染の防止に努めています。また、耐性菌出現頻度や病棟別、材料別の細菌出現率、抗生剤の感受性率など統計データの解析をし、日々感染制御活動を実施しています。

     

     

     


    輸血検査

    けがや病気、手術等で出血し体内を流れる血液の量が少なくなると、体中の細胞に酸素を送れなくなったり、血液が固まらなくなり体に障害を来たします。それを防ぐ為に必要な血液成分を補充することが輸血です。輸血する血液製剤は献血によるものと、自分の血液を手術の前にあらかじめ採取しておく自己血があります。臨床検査部では安全な輸血を行うために、血液型(ABO式・Rh(D)式)・不規則性抗体検査・交差適合試験などを行っています。

     

     

     

     

    赤血球の表面に存在するA抗原、B抗原と血清中に存在する抗A抗体、抗B抗体の存在を調べます。

     

     

     

     

    Rh式血液型には、C・c・D・E・e抗原があります、その中でも輸血の際に最も重要なD抗原の存在を調べます。D抗原が存在すればRh(+)、存在しなければRh(-)といいます。

     

    妊娠、過去の輸血等の理由でABO以外の血液型に対する抗体が存在することがあり、このような抗体を不規則性抗体といいます。この不規則性抗体が存在すると、輸血による副作用を起こすのであらかじめ存在の有無を確認する検査です。


    実際に輸血する血液製剤と、患者さんの血液を混合し(実際は患者血清と、血液製剤の血球、患者血球と血液製剤の血清)、輸血するのに安全な血液か否かを検査します。

     

     


    病理検査

    患者さんから採取された組織を標本作製し、顕微鏡下で病理医が病気の診断を行います。検体の受付から標本の作製までを検査技師が行っています。 また、手術中に行う迅速組織検査により、切り取る範囲を決定したり、術式の変更を行うことがあります。

     

     

    自然に剥離した細胞や侵襲性の少ない器具を使用して採取した細胞(子宮頸部、体部、喀痰、尿、胸腹水、乳腺、甲状腺など)を染色し、顕微鏡下で観察して病気の診断を行います。

     

    ご家族の承諾をいただき、亡くなられた患者さんの死因の究明や病気の広がり、治療効果の判定を行います。病理解剖の結果は、今後の医療の発展のために役立てています。解剖中の介助、標本作製を検査技師が行っています。